【読書感想文】小説 仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜(三条陸)

小説 仮面ライダーW ~Zを継ぐ者~ (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダーW ~Zを継ぐ者~ (講談社キャラクター文庫)


翔太郎の名をかたって、難事件に挑むことになったフィリップ。ファングジョーカーに変身して、アクセルとともに活躍をする。しかし、ドーパントとの戦いは激しさを増し、たった一人で仮面ライダーに変身することに。その名は…仮面ライダーサイクロン。

一言で言えば、"見事なノベライズ"と言った感想。
ダブルのメインシナリオを手掛けた脚本家の三条陸氏が手掛けた小説という事で"ダブルらしさ"って点では極上。
というよりも仮面ライダーダブルという作品を世界で1番知ってて1番愛してるのは他ならない三条氏なのだろうし、"ダブルそのもの"って表現の方が適切だろうか。
漫画やアニメのノベライズにありがちな、著者の中での作品像と自分の中での作品像が微妙に食い違って腑に落ちないまま読み進めるって事は一切なかった。
全ページに渡って脳内で情景と最適な
BGMが鮮明に再生されて行ってそれが心地良い事。
特に敵のガイアメモリを看破するくだりの脳内再生率は100%。今回は翔太郎が待機しフィリップが足になるというテレビシリーズと逆転した構図にも関わらず"ダブルらしい"と思わせる(先程述べた通りダブルそのものだから当たり前なのだが)三条氏の手腕は見事の一言。

また本編で後に起こる出来事の伏線を各所に散りばめたり、逆に本編で消化されなかった伏線を消化したりと、派生作品が全て本編と地続きになってるダブルの設定の強みも上手く使われており安心。

ただ全体的に文体が平坦で特に最後の戦闘シーンは「ちょっともたついてんなー」って印象を抱いたが、脳内で再生される情景が上手い事それを覆い被し隠してれたのでそこまで気にはならなかった。ここら辺はやはりノベライズの強みか。

仮面ライダーダブルを知らない人が読むのは流石に色々と厳しいが、仮面ライダーダブルという作品を知ってる人間からしたらノベライズという媒体と仮面ライダーダブルという作品の強みと魅力が上手く噛み合った良質なファンブックでした。素敵な誕生日プレゼントをありがとうございます。