皇帝vs珠玉(カリスマ)

色々あって、「新テニスの真田vs幸村戦って特に何事もなく真田が負けたよなwwww無様wwww」って言われてブチ切れそうになった事思い出してむちゃむちゃ気分悪いので、以前ツイッター頭蓋骨破砕丸 (higanjima_PR) on Twitterに投下したテニスの王子様の即興二次創作を投下して脳みそを気持ち良くします。
尚、ざーっと見返して気に食わなかった箇所をサクサクと加筆修正したりしなかったり(この言い方ワナビっぽい!)したんで、1度読んだ方ももう一度読んだり読まなかったりしてくれるとウレピーです。


  1. ーーラーメン二郎立海店。立海大付属中テニス部員達のホームであるこの場所に何故青学テニス部が足を踏み入れたかという経緯は割愛するが、真田と手塚は着席注文した大豚ダブルを待っていた。そう、ご存知ロットバトルである。 
  2. 着席し活気溢れる厨房を見つめる手塚国光。突如として彼の全身が光に包まれる。その光は宛ら並べられたレンズのごとく光をかざし合い手塚の体をガラス細工のように彩っていた。
  3. 「で、でたぁー!手塚部長の才気煥発の極み!これで自分と相手の完食タイムがわかるんだー!」絶対予告の発動に湧く青学。 だがその歓声は直ぐに静る事となる。
  4. 「知り難き事陰のごとく」重々しく言い放つ真田。そう、『陰(かげ)』だ。真田が持つ究極奥義『風林火陰山雷』の内の1つである『陰』。それは自らの心を閉ざし、それと同時に様々な行動パターンを匂わし『才気』及び心を読む技術を封じる技。本来のそれはテニスで使われる技だが目には目を、歯には歯をだ。 
  5. 「これじゃあまるで全国大会の決勝戦の再現じゃねーか…」「いくら手塚でもヤバイんじゃあ…」不安げな様子で手塚を見る青学テニス部一同。「…」だが当の手塚本人からは焦燥感はまる感じられない。鉄面皮。真田もまた油断している様子はない
  6. 「お客さんトッピングは?」カウンター越しに店主が尋ねる。当然2人ともノータイムで全マシマシをチョイス。ドン!それぞれの手元に山と形容するに相応しいラーメンが置かれる。
  7. カチャ!カチャ!両者一斉に箸置きから箸を抜き取り手を合わせ「いただきます」「いただきます」一拍の間、先に動いたのは真田。「疾き事風の如く!加えて侵略する事火の如く!」    グルン! ザムッ!真田が神速と見まごう程の挙動で丼に箸を立てる!いや、既に立てて『いた』という表現が適切だろうか。
  8. 「やはり使うか『風林火山』」「真田君の究極奥義、一度発動したら相手は戦意すら失う」「上手い!真田の奴風で天地返しをしてブタと麺とヤサイを火で同時に処理してる!一方手塚は!?」ジャッカルである 
  9. 「食いきれない二郎なら…食わなければいい」舞踊の如く繊細な動きで箸をヤサイの山に潜らせる手塚。ツゥン…丼の中で小さなミルキィクラウン、いやカネシクラウンが一つ。ファァッ…手塚の丼のブタが1つふわりと宙を浮き、風に乗った紙飛行機の様なゆるりとした動きで真田の丼に落ちた。
  10. 「手塚…手塚ファントムでブタだけを真田の丼めがけ弾き出してる」「手塚…君は」 
  11. 「汚ねーぞ青学!ギルティだろうよい!」「そうだそうだ!」「やんのかゴルァ!」「やらせねーよなあ?やらせねーよ!」手塚の限りなくギルティに近い行為に店内はあわや乱闘、一触即発の雰囲気になるが、そんな事など御構い無しなに手塚は超高等テクニックであるファントムを用いて自身のブタ達を真田の大豚ダブルへ押し付ける。ボチャ!ボチャ! 
  12. 「くっ、な、て、手塚!キェェッ!」「負けるつもりはない、と言った筈だ」激昂する真田及び立海陣。手塚が1/3近く量が減った大豚ダブルに箸を付け始めた。その挙動には一切の無駄がない熟練者のそれだ。「ぐぬぅ…小癪な!」ブタを追加で乗せられ堆積を増した真田の丼はさながら聳え立つ糞。いやさながらではない、糞だ。 
  13. 手塚の大技に湧く青学サイド。「…」真田暫しの沈黙。バチバチバチバチッ!!二郎店内を駆け巡る稲妻。有線が止まった。思わず手塚の手も止まる。そして真田は既に二郎を食べて『いた』「動くことハフッ 雷霆のハフッ如ズビーッ!」「弦一郎が…雷の光速移動で箸を動かしてる…」ご存知、『雷』。全国大会決勝で青学を絶望の淵に追いやったあの技である。
  14. 「真田の奴中々やりおるぜよ。プリッ」ロット上の詐欺師がニィと口の端を歪める。「真田君頑張ってください!ギランバレー症候群に酷似した病気を克服したけれど病み上がりで二郎が食べれない幸村君の為にも!」紳士(ジェントルマン)も真田にエールを送る 
  15. 「ハフハフッ!」「モサモサッ!」互いにコップに一口たりとも口を付けず一心不乱に貪っている。赤く塗られたテーブルにスープの脂が飛び散り地獄絵図!ヤサイはモヤシの1本足りとも丼から零れていない。流石歴戦のロティストである。「うおおおお!」「ぬおおお!!」「この2人どこまで真向勝負なんだ…」
  16. 「へぇ、やるじゃん…」東の超ルーキーが静かに笑いそれを隠す為に帽子を目深に被る。先輩の試合中に応援席で見せるいつものそれだ。時刻は18:25。店内は臭気に満ちていた。
  17. 「静かなる事林の如く!」『林』で満腹感を和らげる真田!店内が湧く!「はっ!」それに負けじと手塚も『ゾーン』を用いてヤサイと麺を吸い寄せ胃に流し込む。ギャラリーもヒートアップ!
  18. 現在の状況は手塚はブタを全て処理し残すは少々の麺と僅かなヤサイのみ。真田も自らのと手塚にファントムで押し付けられたブタは全て処理して残すは麺とヤサイだけ。互角と言っていい戦いだろう。だがーーー  
  19. カターン!「ぬ、ぬお…ハァハァ…」唐突に真田の箸が止まる。呼吸が荒い。その額には尋常じゃない脂汗。「ぐ、ぐぉ!き」食べかけの自身の大豚ダブルを睨みつける。「真田副部長の箸が止まった!?まさかここで鉄壁の『山』を!?」「いや、雷を酷使しすぎたんだ。流石の真田と言えど大豚ダブルに加えて手塚のブタを処理していたんだ…苦しくならないわけがない」俯瞰的な目線で状況を伝える幸村。
  20. 「ハァ…ハァ…て、手塚ぁ…ゲッポォ〜…」真田が、大きなゲップをした。苦悶の表情、脂汗、握った拳、もう真田の胃袋は限界だった。「ハフッ!ハフッ!油断せずに!ハフッ!いこう!」メガネのレンズがスープの脂で汚れる事も厭わずまるで餓死寸前の犬が泥水を啜り飲むかの如く食べ進める! 
  21. 「手塚部長いけぇーっ!!」「真田副部長ー!負けないでくださーい!!」「真田ぁ!!!」「皇帝!皇帝!皇帝!こ!」ロットバトル終盤に差し掛かりヒートアップするギャラリー。真田は虚ろな目で崩れかかった大豚ダブルという山を眺めていた。
  22. (…俺が皇帝だと?ラーメン如きに負けそうになってる俺の何処が皇帝だ…)「皇帝!皇帝!皇帝!」(もういい、やめろ!やめんか!)「皇帝!皇帝!皇帝!」(もう腹一杯なんだ…やめてくれ…頼むから…)カタッ…真田が箸を置いたーー静まり返る立海サイド。誰もが真田の負けを確信していた、が。「ったく、しょうがねえぜよ」ロット上の詐欺師と呼ばれる彼だけは違った。嘆息を1つ吐くと、真田の背後に立ち、
  23. パァン!真田の後頭部を思い切り殴った!「!?」「お、おい!」ざわめくギャラリー。不意の衝撃に思わず振り返る真田。そこには真田弦一郎がもう1人立っていた。真田が真田を殴るという異常な光景に静まり返る店内。「お、俺が…何故…?」「貴様!」狼狽える真田に怒号を発す真田。「この腑抜けが!俺は誰だ!」
  24. 「さ、真田弦一郎…」「そうだ!俺は真田弦一郎だ!俺はこんな所で諦める様な腑抜けではない!」「お、俺は!」「子の後の言わず食わんか!そして再び手塚に勝て!!」「…」  
  25. 丼に向き直り、置いた箸を持ち直す真田。そして背後に立つ自身の幻影に背を向けたままーー「すまんな仁王」「プリッ」真田が不敵な笑みを浮かべ仁王に戻った。
  26. ギラン!輝きを失っていた真田の瞳に夏場の太陽にも似たギラついた光が宿る。「笑止千万!」ズルッ!ズルッ!再び大豚ダブルを崩しにかかる真田!
  27. 「すまないな仁王」「なぁーにどうってことねーじゃき部長」応援席に戻る仁王。「真田君は持ち直しましたが手塚君がレンゲを手に取りました!おそらくもう後10口!いや5口で食べ終えます!」「おいおいやっぱマズイんじゃねーの!?」狼狽える柳生・丸井。
  28. 紳士柳生の読みは事実正しかった。あと5口「手塚先輩ー!あと少しです!」あと4口「がんばるにゃ!!」あと2口「肉汁をぉ!」「手塚の勝利確立100パーセントだ!」「いや」乾のお決まりの台詞に幸村が割り行った。
  29. 「う お  お     ぉ  ォォ   おおーーっ!!」 店内に響く真田の裂帛の叫び!ズオオオオオ!!!それに呼応するかの如く真田の体から墨汁ともスモッグともヘドロとも形容できる得体の知れないドス黒いオーラが噴出し一瞬で真田の全身を包み込む!
  30. 漆黒のオーラを纏った真田が丼を持ち上げその縁を口に付け一気に傾け!!ズビ!!ズバ!!ヂュル!!ゴキュッチュポ!!ドドドド!!  ゴックン!ゴックン! ズズ「(ゲェーープッ…)」残っていたヤサイ・麺もろとも全て飲み干した。 
  31. 打って変わって静まり返る店内。今迄二郎を飲んだ人間がこの世に居ただろうか?いや、いない。人は真に異常な光景に遭遇した時、騒ぐ事も泣く事もできずただ唖然とするしかないのだ。兎にも角にも【皇帝】はその異常な事をやってのけ手塚よりも僅かに早く大ブタWを完食したのだ。 
  32. 「ゲームセットウォンバイ!真田!!!!!!!!」
  33. 「「「ワアアアアアアワアアアアアアワアアアアアアワアアアアアアッッッ!!!!」」」審判のコールにより思考停止していたギャラリーが高揚を取り戻す!拍手喝采!大歓声!「手塚部長負けちゃったけど良い勝負だったすよ!」「このロットバトルが伝説になる確率100%」「グレイトぉ!」
  34. 「手塚どこに行くんだ?」労いの言葉を送ってくれる仲間達を尻目に立ち上がり店外へ出る手塚。「うおお!!真田副部長すっごいっす!俺マジ感動しました!」「弦一郎…今のは一体-?」「お、俺は一体、何を?」仲間達に祝福の言葉を貰う真田。だが当の真田本人は自身の身に何が起きたのか自覚してない様子。再び襲って来た満腹感で丼をカウンターに戻すどころか立ち上がる余力すらない 
  35. 「真田」戻ってきた手塚。その手には黒烏龍茶のペットボトルが2つ。「手塚…おエッ」「負けはしたが良い勝負だった」手塚が黒烏龍を1本、真田の前に置いた。「貴様とは二度とやらん」「俺はいつでも歓迎だが」「ふん、たわけが!」手塚と真田が卓上でガッチリと熱い握手を交わした。 終